既存プロジェクトの改善のため、Asanaを導入してみた

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1. 本記事を執筆するにあたってのご挨拶

Webフロントエンドを担当している皆田と申します。

前職の経験を活かした改善に日々取り組みながら、現チームの課題を解決するため、タスク管理ツール「Asana」を導入しましたので
導入に至るまでの苦悩やフロー作りを紹介させていただきます。

あれ?グリフォンってWrike利用してるんじゃないの?と思う方もおられるかもしれませんが、チームの発足時期によって内部状況や抱えてる問題も様々。本来は同じツールにする方が良いとは思いますが、お値段やチームサイズの問題、諸々の事情も相まって、Asanaを選択させていただきました。

※半年分の私のメモから書いてるので、超絶長いですよ。。。

2. Asana導入

既存プロジェクトを運用していくにあたり、以下のような問題がありました。

  • 長期化したプロジェクトにありがちな属人的になってしまった
  • 作りが煩雑でバグを発生しやすいつくりになっている
  • 「あ、忘れてた」を見かけることが多くなってきた

チーム内の「見える化」「連携強化」がチーム課題となっていました。

当時、チームでは、Redmineでタスクを管理していましたが、ホワイトボードやタスクツールをベースにメンバーが思い思いにタスク管理していたため、誰かが何かを忘れると抜けてしまうなんてことが起きていました。

CEDECに参加してきて、Redmineの新バージョンをプレゼンされ、導入検討できないか相談したところ、現Redmineからのバージョンアップは構成上、難しいとのことでした。そこで2017年から結構話題に上がることが多くなっていたAsanaを検討してみようと突っ走り始めたのが導入に至ったきっかけとなりました。

2-1. Asanaとは

よくある説明・・・
「Asana」は、Facebook共同創設者のダスティン・モスコヴィッツと、”Likeボタン”を作ったGoogle出身のエンジニア、ジャスティン・ローゼンスタインの2人の元Facebookエンジニアがつくった、プロジェクト管理ツールです。

導入時に参照したサイト:
これ1つで完結するかも。プロジェクト管理ツール・Asana(アサナ)の使い方
エレガントなタスク管理ツール、Asanaの使い方
AsanaFAQ  and common questions(英語)
他、YouTubeにあがっている英語の紹介動画を見てました

2-2. なぜ今Asanaをいれるのか

導入しようと思いたち、上の人からも周りの人からも、問題なく運用できているのに「今なぜ?」という疑問を投げられることが多かったです。
エンジニア側から「リファクタリング」を行う際によくあるのですが、そのメリットをエンジニア以外の人に理解してもらうのは非常に難しく、自分では結果を明確にイメージできていても、その利点を人に伝えるというのは至難の業なのです。

そのツールでどんなことができるのかを調べ、どう解決していくか、メリデメはどんなものがあるのかを考えた上で、今後のプロジェクトの「先」も考え抜いた説明が必要となります。

前述した通り、長期化して人も入れ替わってしまったプロジェクトにおいて、課題は山積みです。

「何もせずに手がかかる大変な運用を続けるのは健全的とは言えない」と考え、Asanaの多様性に着目したのです。

Asanaが使えれば「ユーザーファーストで改善が早いチーム」を実現しやすくなると考えました。

■主な課題

  • 使っているRedmineのバージョンが古く、ガントチャート管理ができない
  • 「チケットを切る」ことに対してアクションが遅い人が見受けられた
  • 年単位で放置されているチケットが多かったので「見える化」したかった
  • Redmineって結構前のものだから今の開発手法に合わなくなってるところもあるよね
  • ChatWorkのタスクって煩雑で管理しにくい作りだよね
  • 仕様、意図を人が変わるとうまく引き継げない
  • 作業が属人的で、引継ぎ不十分だと仕様変更による延バグが出てしまう

■メリット

  • モダンなデザイン
  • 操作が直感的で比較的操作学習コスト少ない(ドラッグ&ドロップ、範囲選択、コピペ、ctrl+z)
  • 動作が最初のロード以外軽い
  • 誰でも誰のタスクでも見に行ける、編集できる、作れちゃう(ToDoをカンタンに作って共有)
  • Instaganttを連携させるとガントチャートが自動的に生成できる(逆にガントチャートでいじるとAsanaに反映される)
  • yammerみたいに会話できる場所(conversations)がある
  • 全てのタスクや会話にLikeができる
  • カンバン型とリスト型が使えるのでTrelloっぽくも使える
  • Projectsは無制限に作成可能(制限をつけた非公開プロジェクトも作れる)
  • サブタスクが無制限に作成できる(階層作ろうと思えばいくらでも!)
  • 画像容量が無制限(2017年11月時点での記述ではそうなっていた)
  • GoogleDrive、Slackといった外部ツールとのAPI連携が可能
  • タグつけてグルーピングすると同じタグのタスクリストが閲覧可能
  • Repeat設定するとタスクを終了したときに自動で次のタスクが作られる
  • タスクのコピー機能でタスクを再利用したとき、サブタスクなどを残せる
  • モバイルアプリが存在し、いつでもどこでも思いついたときにいじれる、確認できる
  • Googleアカウントの連携がある(セキュリティ面での管理が不要でログインが楽)
  • Googleカレンダーに同期できる(更新される頻度は少なめですが、あるだけ便利)

■デメリット

  • ドキュメント、メニューが英語ベース
  • Redmineに比べると文書保存に関しては流動的で不安
  • 15名以上は有料
  • Instaganttは無料の範囲内では3プロジェクトしか接続できない(普通1つしか見ないので特に影響なし)
  • できることが自由すぎてある程度ルールを設けなければならない
  • カンバン型、リスト型は途中で変更できない
  • 1タスクに複数人をアサインできない(タスク管理上、それで良いと思うがFAQで結構見かける質問どころ)
  • コピータスクした際に、タスクチェック(完了)をはずせない(コレは運用上結構面倒なので、自動化したい)
  • サブタスクを範囲選択でペーストすると、消す時に一個ずつ削除なのでめんどい

3. Asana導入

数あるデメリットはフローでカバーしてあげることでなんとかできそう、有料版機能や今後の他ツール連携を考えてAsanaが良いと思い込み、チームや上司に相談しました。
「Asanaを使いたいんです。英語だけど、すでにフリー版でフロントエンドとデバッグチームで良い感じに使えています」
「コストもなかなか良い感じで、タスク管理しやすくなり、マネジメントコストも下げられます」
・・・ほぼ事後報告のプレゼンみたいな感じでしたが、課金を視野に入れて動いても良いとプロデューサーからのお達しがあり、

まずは無料版で試しながらフローを推敲し、有料版に切り替えるメリットを探っていくことになりました。

3-1. Redmine+yammerからAsana+Chatworkへの移行

会社の方針として、yammer契約廃止、Chatwork利用推進の流れもあり、ツール見直し期に入っていました。
yammerがなくなってもAsanaで同じようなこともできる。一旦軽い施策で試して良さそうなら導入しよう!となりました。
運用に移行して、そこからの苦労もありました。その過程をざっくり書きます。

==== Redmine + yammer 期 ====

2017年8月末
・CEDECでRedmineの新バージョンや新機能について知り、相談してみたが、現Redmineをバージョンアップできない事実を知る
2017年9月
・Trello検討、フロントエンドでも試しに使ってみた
→日付管理とか設定が面倒で2週間くらいで断念
・Todoist、Asanaなどのタスク管理ツール、フリーのガントチャートツールを使いまくる
・弊社でWrike使いはじめたプロジェクトがあったので、試しに見てみる
→Wrikeはコスト面と現在の運用メンバーを考慮するとチームにサイズが合わず断念
・Asanaに関して調べまくる(Web/動画を通してフリーで使う)
→休日はツール動画見まくり
・Asanaいいよと触れ回る(私の気分でAsanaTipsをプロジェクトのChatWorkにつぶやく)
・Asanaでの運用フローを考える
・デバッガー&デザイナー&フロントエンドで試用運転(15人未満で軽い施策)

==== yammerからChatworkへの流れがくる ====

2017年10月
・Asanaに練習用プロジェクトを作成
・ガチャチームで試運転
・Asanaの記事を読み漁り、説明資料をパワポで作成

==== Redmine+Asana併用期 ====

2017年11月
・ 25名でチームを有料登録
・試用してみて気づきをフローにフィードバックしてConfluenceにまとめる
・月末から有料化して有料版機能をチェック、フローを改訂

==== Asana + Chatwork 期 ====

2017年12月
・チーム全体でAsanaを使ってみる月に設定(一部Redmineで管理されてた)
2018年1月
・「みんな、Redmineは触らずAsana使ってね」と再周知
・オリエン後、要件定義確認をサブタスク化というフローを作る
→作業手順書にしてしまえ!(このときはうまく伝わらなかった)
2018年2月
・タスク化漏れ防止のために各プラットフォーム毎のプロジェクトを作成して親タスクに登録
・セルフデバッグの手法、各フェーズの連携方法を考える
2018年3月
・Asanaを使えてる人とそうでない人の差が激しいので、講座を準備
・サブタスクによる手順書作成をしていただくための布教活動

3-2. 2018年3月中旬現在の運用(タスク管理)フロー

一部になりますが、こんな感じでフローを義務化し、チームの対応速度、確認粒度を上げています。

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■毎朝5分程度のタスク確認(できれば夕方見て定時前に進捗確認)
期限切れタスク / Todayタスク / 期限なしタスク / 加えて今日できそうな明日以降締め切りのタスク

■毎週水曜のスケジュール共有後
次月同日までの作業を全てタスク化

■作業完了後
セルフデバッグで気付いたことを「デバッグ」タスク内にサブタスク化
→ 期限は当日、必ず担当者を作る

4. 導入後、振り返り

何でも「Asanaにしといて」で成り立つコミュニケーションが理想です

繰り返し施策であれば、「前どうした?」とか疑問を抱くことなく、タスクに集中しやすい前対応者のサブタスクが存在することで、調査や影響範囲考慮といった工数を削減できます

例えば、実際に施策をデバッグしたときに気づいたことを、ChatWorkや口頭での当事者同士の会話で終わらせるのではなく、タスク化しておくことでエビデンスを確かなものにし、仕様変更検討時に考慮漏れがないようにしていく・・・とか

4-1. Asanaにしてみて良かった事例

  • ステータス、過去のアップデートを追いやすくなった
  • スプレッドシートと連携してAsanaタスク化の仕組みができた(不具合報告)
  • タスク内にメモがあるので、Wikiとは違って必ず作業者の目に触れる
  • 課題管理をプロジェクトに作成して把握しやすくなった(フォローアップもしやすい)
  • 自分用にプライベートプロジェクトを作成し、日々の雑務も1元化されたタスクリストで管理できるようになった
  • ミーティング中にもノートPCやスマホでAsanaを開いて話した内容をすぐにタスク化できるようになった

4-2. Asana失敗談

  • タスクのRepeat機能を使って自動タスク生成を試みた
    →アサインがそのままでタスクを生成されるので、「今いらないタスク」に苦情殺到
    →タスクコピーフローに改訂して回避
  • Inboxのnotificationが弱い、気づきにくい
    →毎朝のMyTasks確認フローを設けて回避
    →懸念はサブタスク化してCopyTaskURLした文字列をChatWork施策部屋で宛てて対応
    →ChromeやChatWorkを用いたツールで気づけるようにする(現在検討中)
  • タスク化しない人がいる
    →メンバーごとにタスクをカンタンに覗けるので、お互い指摘する
    →プロジェクトを細分化し、登録することでタスク化されていないものに気づきやすくした
    →タスク化を監視しやすくなったので、タスク追加のタイミングをルール化し、漏れを指摘しやすくした
  • そもそも操作をわかってない
    →講座開こう
    →でも準備工数かかる
    →将来のためにドキュメント作成合わせてやるしかない!

4-3. 今後Asanaでやってみたいこと

  • 定常タスクの自動生成(現在手動だがGASなどで管理したい)
  • 作業手順書の徹底(仕様書不要なところまでドキュメントを更新)
  • マージリクエスト、コードレビューのAsanaフロー化(現在、ChatWorkタスク管理)
  • リリース管理のAsanaフロー化(現在、ホワイトボードに書いてる)
  • 課題管理と進捗フォローの徹底をAsanaフロー化(現在、思い思いに作成中なところあり)
  • 個人ベースのPDCAを勝手に回せるフローづくり
  • 施策のPDCAをツール上で行い、知見を貯めたい

5. まとめ

実際、運用方法を変えてみたわけですが、以下のようなマイナス要素はありました。

  • 推進する自分が誰よりも理解を深めなければならない
    →通常タスクと並行&資料づくり工数発生
  • 新しいことをしようとすると周りの反発は計り知れない
    →今できているのに、なぜ?というのが必ず出てくる(意図が正しく伝わらない)
  • いくら便利でも知ってもらえるまでは苦労する
    →みんながみんな、自分から調べる人ばかりではない、教えなければならない。理解までは更に遠い
  • ツール利用を強制的にフローに組み込んでみても、使わない人は最小限の動きしかしない
    →「今までこうしてきた」があるので動かない
    →こういう課題あるでしょ?だからやってみましょ?と説得

ただ、嬉しいことに、「タスク作りやすくなった」「簡単にガントが見れてうれしい」などの声も聞けてモチベーションを維持してました。(褒めるの大事)

この記事を執筆している最中もフローの改善、工数削減のための仕組みづくりを続行していますが、Asanaはできることが多いです。

※「Redmineでもそれくらいできるよ」とかいう意見はこの際封印!

粘り強くチームの改善を行うことで良くなると確信できていたら、どんなこと言われてもまっすぐゴール目指して動くのみですね。

とはいえ・・・工数削減やバグ解消、自動化のための改善を推し進める上で、本人は「良かれ」と思っていても、伝える方法を間違えると「ひとりよがりの迷惑行為」になってしまうのは気をつけたいところです。

導入には苦労しましたが、ご協力いただいたチームメンバーの皆さまには感謝しております!

最後に

長い記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

新しいものを検討するときの一助になればと思います。
同時に・・・「タスク管理大事!」「やり切れるような環境づくり大事!」という観点で、マネジメントする側はもちろん、個々のメンバーも「セルフマネジメント」「高速PDCA」の方法について熟慮するきっかけとしてAsanaのようなツールを使ってみるなどしていただけましたら幸いです。