実はCSMも持っているSREの徳田です。
今回はRegional Scrum Gathering Tokyo 2020に参加してきたのでDay1の簡単なレポートができればなと思います。
Regional Scrum Gathering Tokyoとは
Regional Scrum Gathering Tokyo(以下RSGT)は東京で行われるRegionalなScrumについてのGatheringです。要はScrumについてのイベントですね。
チケットの販売が開始されてから十数分で完売になってしまうほどの人気イベントです。3回に分けて販売されるのですが、自分は1回目を忘れており、逃してしまいました😄
今年のRSGTは3日間開催されます。
この記事ではDay1で自分が見に行ったセッションについて簡単な紹介と、個人の考えを書こうと思います。
セッション紹介
Keynote “The Ten Bulls of the Scrum Patterns”
James Coplien(以下Cope)が “Do you have some sake??”
というセリフとともに演劇で始まったKeynote😄
禅にある十牛図と重ねて、スクラムパターンについての話、またその改善を行っていく人が真の自己を手に入るためのお話でした。
十牛図には牛と人が出てきますが、牛は真の自己として表されており、この真の自己を追い求め牛を探します。が、今回のKeynoteではこの牛をScrum Patternに置き換えて話を進めます。
文字の通り、10枚の図で表されています。
- 尋牛: スクラムを見つけてないが、何かが足りないと感じている状態
- 見跡: 何かを発見し、それを学ぶことが良さそうなことだとわかった状態
- 見牛: 近くの見える範囲にスクラムチームを発見した状態
- 得牛: 講習に行ったりしてこれまでとは違う方法であることに気づいた状態
- 牧牛: スクラムガイドにしたがってきたが、何かが足りないと感じ始める状態
- 騎牛帰家: 会社がスクラムを受け入れた状態
- 忘牛存人: チームの調和が取れており、集団で良い方へ向いている状態。ここでスクラムを忘れる
- 人牛倶忘: スクラムも忘れ、自分もいない状態。世界を構成する要素の一部でしかない、という状態
- 返本還源: 自然があるべき道で自然から学ぶ状態
- 入鄽垂手: なぜ?から真の自分自身を見つける
これらの内容を全て掘り下げるとすごい量になってしまうので、割愛いたします。
自分の気付きやなるほど!と思ったこととしては以下のようなものがありました。
- スクラムは科学的な実験室のようなもので、失敗も許されている
- 反省なしに改善はない
- みんな・チーム・集団で反省する
- Agileは物事をすること、Scrumは物事を組み立てること
- Scrumはプロダクトではなくプロセスを組み立てる
- プロセスがプロダクトを組み立てる
- 小さく、少しずつ試して、改良する
- 無名の質
- 場: 素晴らしいことをやっている感覚
- 在庫がある状態は恥
- なぜ?を理解し、真の自分自身を見つける
このKeynoteを聞いて、とてもわかり易く、納得のいく話ばかりでした。
ですが自分が言語化できるほどの理解はなく、自分はまだまだの状態にあるんだなとも思いました。
Keynoteの際にCopeがあなたはどの状態にあるか、ということを聞いていました。
自分は得牛から騎牛帰家の辺りなのかなと思っています。
アジャイルコーチ活用術
こちらのセッションでは
- アジャイルコーチの説明
- コーチングとティーチングの違い
- アジャイルコーチの責務範囲
- アジャイルコーチに依頼する際の準備
を解説していました。
コーチングとティーチングの違いから始まり、アジャイルコーチが行う範囲については自分はあまり理解できていなかったためとても良かったです。
また、アジャイルコーチにコーチングを依頼する際の準備の話が特に参考になりました。依頼するしないは置いておいたとしても問題の明確化とそれの対処についての流れをとても分かり易く解説してくださいました。そして対処の手段としてアジャイルコーチに依頼をする場合にはこの手順にしたがって考えを進めていけば良いんだな、と思いました。
GRIPHONEでもアジャイルやスクラムをちゃんと理解している人は多くないため、しっかりとしたコーチングを行うということを考えてもいいなー、と思ったセッションでした!
資料はこちらで公開されております。
みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?
こちらのセッションでは
- Outcomeの説明
- OutputとOutcomeの違い
- 2つの事例紹介
を解説していました。
Outputは作った機能などのことですが、Outcomeは「どう変わったか」や「課題が解決したか」、「幸せになったか」などのOutputによって得られた効果のことです。OutcomeはBusiness Outcomeである「ビジネス成果」とUser Outcomeである「人の行動の変化」の2種類あります。
このOutputとOutComeは似たような関係にはありますが、対立構造ではなく両方フォーカスする必要があります。
Outputできてない中でOutcomeは語れず、Outcomeが見えてない中ではOutputの数には意味がありません。
事例紹介ではこのOutcomeの観点を考慮したことでROIがわかり、PBIを納得感のある順位付けを行うことができたことなどを紹介していました。
弊社ではOutcomeの考えは入っており、それによっての順位付けも行っていると思います。
が、このOutcomeという単語自体が自分は知らなかったのでそれが大きな発見でした。この観点は製品や機能を作る上では非常に重要なものだと思ってはいましたが、感覚的なものでフワッと測っていた感じがありました。
これからはOutocomeという言葉やその観点を考慮に入れて物事を進めていきたいと思いました。
資料はこちらで公開されております。
プロダクト生存戦略 : 大企業で新規事業を始めて成功させるには
こちらのセッションでは3人の方による
- お金について
- 政治について
のお話をパネル+セッション形式での発表でした。
このセッションは「実は・・・」とか、「ここだけの話・・・」という感じの話がこちらには多くは書きません😄
ただ、3人共まとめとしてコミュニケーションをしっかり取ること、ということについて一致していたのがなるほど!という感じでした。
また、最後の川口さんの言葉で
「技術やレベニューソースを増やさなきゃいけないのに、お金と政治のことばかりやっていていいのだろうか・・・。という悩みについて勇気を与えられたと思う」
という言葉がとても心にきました。
なぜこれで勇気を与えられたのかとか、心にきたかとかはわからないと思いますが、知りたい方は自分やセッション登壇者・聴衆者に聞いてみてください😄
特殊部隊SETチームの日常 - 技術と実験を融合した実践アジャイル術 –
こちらのセッションでは
- 手法やテクニックの適用法
- LINEのSETの説明
- SETでの事例紹介
を解説していました。
基本的には事例の紹介、という感じでしたが、どの事例でもSETのメンバーが対象のチームへ入り込んで3ヶ月間対話と改善を継続的に行っているというのが驚きました。
また、これらの事例に対して聴衆者の方にあくまでも事例であって、これらの手法やテクニックはコンテキストの違いから変える必要がある。というのを強調していたのがとても印象的でした。
テックリードは未来の話をしよう (Tech Lead in Scrum)
こちらのセッションでは
- 改善グループについて
- テックリードの必要性
- チームの成長
- テックリードがいるチームとスクラムチームの立ち位置
- テックリードの役割
- 未来を作るとは
- テックリードをサポートする中での学び
を解説していました。
このセッションを聞いていて特に印象に残った話が、テックリードの必要性の話の際にでてきた「チームをどうやってスクラムチームにさせるか」でした。
チームの将来として、「横断的な組織」か「職能別の組織」かのどちらに向けていくかという選択と、自己組織化をさせていくわけです。
しかしスタート時点や改善グループが入った際は大抵の場合横断と職能別の中間で、自己組織化があまりできていません。
このようなチームにはチームを引っ張っていく存在が必要なためテックリードのような存在が必要です。
ところがスクラムをやる上でのスクラムチームというのは横断的な組織かつ自己組織化ができているチームなわけで、そのようなチームは確かにテックリードは不要かもしれない。という内容です。
この話はとても納得できました。そして、チームからテックリードをなかなか外せない理由が個人的にしっかりできた機会でもありました😄
ただ個人的には横断的で自己組織化できているチームとするために、リードをする人がテックリードである必要性は懐疑的に思えました。別の役割として人を立ててもいいと思いますし、自己組織化を目指す上ではリードするというアプローチ自体怪しい気がしています。(間違っている!とかちゃんと理論的に言えない辺りが力量・経験不足ですね😭)
他に印象としてあるのは、未来を作っていく際に押さえておくと良いことです。進め方や失敗を恐れない、失敗からの学習(Keynoteでもありましたね!)が必要だというのがとても印象に残りました。
最後に
Day1から非常に濃密な話が多く、モヤモヤしていた部分の理解を進めたり、多くの気付きや知見に得られたりと大満足の1日でした。
また、Scrumのことを知ろうとしている人のGatheringなだけあってとても「心にくる」や「勇気をもらう」などの俗に言うエモい内容が非常に多かったです!!
この記事ではセッションについて多くのことは書いておらず、なんのことだか分からないかもしれません。この狙いはこの記事を読んでRSGTってとても良いイベントなんだな!!と思ってもらって次回のイベントに参加してもらいたいと思ったからです。(決して書けなかったとかいう逃げじゃないですよ!!💦)
なので、この記事を読んで良いなと思った方は次回是非RSGTに参加してみてください!