この記事はGRIPHONE Advent Calendar 2019 6日目の記事です
みなさんこんにちは。グリフォンでスクラムマスター兼健康管理隊長をやっています鑓水です。
ビリーズブートキャンプのビリー隊長のようなものだと思ってください。
IT業界にお勤めのみなさん(特にエンジニアの方)!
「いつの間にか体重が増えてしまっていた・・・」「ちょっと痩せようかと思うけどどうしていいかわからない・・・」
そんな方も多いのではないでしょうか。弊社でもそういう方は多いです笑。
今回はスクラムのプラクティスを用いて実際にダイエットをしてみよう、という内容を書いていきます。
実体験を元に書いていますので是非ご参考にしてください!忘年会で毎年脱がされるけど今年はいい体を見せたいなんて方は必見です!
この記事を読めば、ダイエットの知識と、あとついでにスクラムの知識も学べます。
※これはあくまで個人での実践になりますので、正確なスクラムではありません。
ダイエットの基礎知識
ダイエット、つまり体重を減らすにはどうしたらいいでしょうか。運動でしょうか?それとも食事制限?
体重を減らす上で一番大事な考えは1日のカロリー計算です。基礎代謝という言葉は聞いたことありますでしょうか。基礎代謝とは、1日何もしなくても消費するエネルギー(カロリー)量のことです。皆さんは通学や通勤、その他移動や趣味の運動なのでそれ以外にもエネルギーを消費します。一方で食事からカロリーを摂取することもしています。トータルの消費カロリー量と、1日の食事から摂取するエネルギー量の差分が最も大事な数値となります。
つまり、1日のトータル消費カロリー > 1日の摂取カロリーとなれば自然と痩せていくことになります。
運動や食事制限というのは方法論であって、それぞれ消費カロリーを増やす、摂取カロリーを減らすというアプローチになります。
つまりどちらもダイエットには有効なことであり、個人の生活習慣に合わせてどちらに比重をおくのかを選択していくことが大事です。
筆者個人の基本情報とダイエット期間
ダイエット開始前の体重:69kg
目標体重:66kg
基礎代謝:1600kcal
期間:2019/10/16 ~ 2019/11/14
後述しますが、今回はこの期間で3kg減らすストーリーになります。
スクラムとは
そもそもスクラムとは何でしょうか。
スクラムとは、アジャイルソフトウェア開発手法の一つです。
詳しいことは、アジャイルソフトウェア開発宣言とスクラムガイドを読もう!
なぜスクラムなのか
ダイエットするのになぜスクラムのプラクティスを用いるのか。
ダイエットはよく「計画が大事」と言われます。毎日の食事管理や運動を継続的に行うことが求められるからです。そうした意味ではいわゆる「ウォーターフォール」の方があっていると思えるかもしれません。
しかしながら我々社会人は、突発的な飲み会や体調不良に見舞われることにより、その計画がすぐに破綻してしまいます。
人間なのでモチベーションの低下により続行しなくなることもあるでしょう。また、人体とは個人差もあり食事や運動による反応が予測できないことが多いです。
人生は不確実性に溢れているのです。
そうした状況に対応するために今回はアジャイル開発におけるプラクティスであるスクラムを選択しました。
スクラムのおさらい
まずはスクラムの構成要素をおさらいしてみましょう。スクラムの構成要素はおおまかに以下の項目があります。
- 3つのロール
- プロダクトオーナー(以下:PO)
- スクラムマスター
- 開発メンバー
- 4つのイベント
- スプリントプランニング
- レトロスペクティブ(振り返り)
- スプリントレビュー
- デイリースクラム
- 3つの生成物
- プロダクトバックログ
- プロダクトインクリメント
- スプリントバックログ
以下それぞれについての説明と、今回のケースの定義をしていきます
3つのロール
今回は以下の設定でやっていきます。
・PO:自分
・スクラムマスター:自分
・開発メンバー:自分
本来のスクラムはチームメンバーとの協調を大事にしていくモノです。
今回は登場人物が全員自分なので、冒頭でも書きましたが、本来のスクラムとは厳密には異なります。
4つのイベント
各種イベントについては後ほど時系列に沿って説明していきます。ざっくり定義すると以下になります。
- スプリントプランニング → 1スプリントで何kg痩せるかの計画
- レトロスペクティブ → 食事内容や運動の見直し
- スプリントレビュー → 体重測定
- デイリースクラム → 今日1日の食事内容と運動計画
今回スプリントレビューというよりはデイリーでレビュー(体重測定)をしながら計画をしていこうと思います。
3つの生成物
ダイエットにおける生成物とはなんであるか。それは体重の減少量(kg)である。それを踏まえると以下の定義になります。
- プロダクトバックログ → 目標体重減少量(kg)
- プロダクトインクリメント → トータル体重減少量(kg)
- スプリントバックログ → 1スプリントでの体重減少量(kg)
それでは実際にスクラムにのっとってダイエットをしていきましょう
スプリントプランニング(1回目)
まずはプロダクトバックログを確認していきましょう
今回のプロダクトバックログは「3kg痩せる」のみです。ただ、この痩せるというのにも色々あります。ただただ体重を減らすだけなのか、もしくは体脂肪だけ減らしていい体を目指すのか。疑問に思った開発メンバー(自分)がPO(自分)に確認すると、後者であることがわかりました。
このように要件定義はPOと開発者は強調して詰めていくことが大事です。
今回は1スプリントを1週間と定めました。期間はチームの開発要件に応じて決めるのが良いでしょう。
日本では一般的に1 ~ 2週間。海外では2 ~ 4週間が主流のようです。(※ソフトウェア開発におけるスプリントの話です)
では、この1週間で何をするかを計画していきましょう。まずはタスクの見積もりです。
今回「3kg痩せる」ですが、どうやったら3kgも減量できるか不明瞭なのでタスクを分解しましょう。
「3kg痩せる」タスクを「1kg痩せる」×3に分解してみます。ただ、「1kg痩せる」もまだまだイメージがつかないので、さらにタスクを分解します。
「1kg痩せる」を「100g痩せる」×10に分解してみましょう。これくらいなら何となくできそうですね。
これをストーリーポイントで見積もります。今回一番見積もりやすいタスク(というかこれしかない)が「100g痩せる」なのでこのストーリーポイントを2とします。そうすると今回のプロダクトバックログのストーリーポイントは合計で 2 × 10 × 3 = 60になります。
なかなか大規模な開発になりそうです。
ここで一番大事な豆知識ですが、1kgの体重を落とすのに7200kcal消費が必要と言われています。つまり、1日の消費カロリーが摂取カロリーを毎日240kcal上回れば、1ヶ月で1kg減らせる計算になります。100g減らすとしたら、720kcal減らせばいいですね。
上記を踏まえるとがんばって1日1食抜けば1日100g減は達成できそうです。ただ、ちょっと厳しいと感じたので少し目標を下げ、1日で90g減を目標にして、最初のスプリントは「100g痩せる」を6つ行うことにしました。また、今回は開発メンバー(自分)から1食抜くのは辛いので別の方法を試したいという意見があったので、運動量を増やす、食事も制限するという手法を選択しました。
自分の基礎代謝が1600kcalなので、1日仕事をすると大体2000kcalを消費すると仮定すると、さらに運動をして400kcalを消費することで2400kcal1日で消費することを目標としました。そうすると、1日2400 – (720 * 0.9) = 1752kcal摂取すれば計画通りいくことになります。
つまりこの計画では60 / 6 * 2 = 5 なので5週間後には3kg痩せる計画になります。
デイリースクラム
1日どのように2400kcal消費して、1752kcal摂取するかを計画します。
消費カロリー
まず消費カロリーについて、400kcalを燃費しないといけないのでジムに通うことを選択しました。これは要件として「体脂肪を燃焼させたい」というものがあるためです。某アプリでは筋トレは10分あたり90kcalとあったので、休憩込みで1時間筋トレすれば400kcalは消費できそうです。筋トレに関しては毎日全身を鍛えるのは体力的に厳しいので、6部位に分けました。6部位というのは
・胸
・背中
・脚
・肩
・腕
・腹
の6部位です。1週間の残り1日は筋トレはせずにジョギングをして体を休ませることにしました。
摂取カロリー
次に摂取カロリーの計画を立てます。
1日の摂取カロリー1752kcalなので大体1食584kcalになります。自分の場合朝に白ごはんと納豆が多いのでそれが大体400kcalになるので、残り1352kcalを昼ごはんと夜ご飯で分散します。食事のカロリーがわからない場合は、食材のカロリーが載っているカロリーSlismというサイトを活用してみてください。また、コンビニの商品はカロリーが記載されているので安心して購入することができます。
自分のある日の食事は以下です。
- 朝食 (410kcal)
- 白ごはん
- 納豆
- 昼ごはん (565kcal)
- 濃厚な旨味み!豚骨ラーメン
- オイコス
- ささみプロテインバー 1本
- 晩ごはん (584kcal)
- ネギ塩チキンのサラダ
- 鮭おにぎり
- いくらおにぎり
- オイコス
- 間食 (180kcal)
- プロテイン 30g
- ささみプロテインバー 1本
合計で1739kcalになります。
こうしてみると、豚骨ラーメンとか食べたり、晩ご飯におにぎりも食べつつ、間食もできています。
そこまで食事制限のストレスは感じていません。
スプリントレビュー(1回目)
では1スプリントの結果をみていきましょう
上記グラフは10/16 ~ 10/23の期間の体重のグラフです。ちょうどバーンダウンチャートみたいな感じになっていますね。
何とこの週はほぼ毎日飲み会が発生したため、食事の管理があんまりできませんでした笑。10/19に当初の69kgを超えてしまっています。
これは開発中にスプリントプランニングで発見できなかった追加仕様が発生したようなものです。
さらにスプリント終了日の10/23に体重の記録を忘れてしまっています。おそらく68.5kgだったかと思われます。
10/20から物凄い勢いで体重が減っていますが、これはおそらく食事制限を開始した事による身体中の水分が減ったことによる減少だと思われます。
そのためすぐに68kg後半に戻ってしまっています。ここら辺は人間の体の不思議ですね。
レトロスペクティブ(1回目)
では、1スプリントを振り返っていきましょう。
この週は飲み会が多かったため1日のカロリー計算がうまくできませんでした(居酒屋メニューのカロリーが不明なため)。また体重減少量も(推定)500gということで、600gの計画からもビハインドすることになってしまいました。
2スプリントでは飲み会が1個もない想定なので、日々の計画はそのままにカロリー計算を徹底して様子をみることにしました。
スプリントプランニング(2回目)
2スプリントでも600g減を計画しました。飲み会がない分確実に達成できる目標かなと考えていました。消費カロリーや摂取カロリーに関しては前回と同じまま望むことにしました。
スプリントレビュー(2回目)
レトロスペクティブ(2回目)
1スプリントよりは振れ幅が少ないですが、完全に停滞してしまいました。着地68.3kgでした。
このスプリントでは200gしか減少していないのでストーリーポイントは4ポイントしか消化できませんでした。このままでは目標達成までかなり時間がかかってしまうので、計画を見直すことにしました。
スプリントプランニング(3回目)
このスプリントでは摂取カロリーを減らすことにしました。食事のストレスがほとんどなかったので、削れるところは削ろうという考えです。
具体的には、1日の摂取カロリーを1752kcalから1600kcalに減らしました。夜のおにぎりを1つ減らす感じです。
スプリントレビュー(3回目)
レトロスペクティブ(3回目)
3スプリント目はベロシティがグッと上がりました。結果67.5kgで着地したので、800g減少しました。消化ストーリーポイントは16ポイントです。
ほぼ毎日安定して減量しているので、基本の行動は変えずに、さらにベロシティが上がる方法を考えてみます。結果としては今回摂取カロリーにテコ入れしたので、次回は消費カロリーを増やす方向に舵を切りました。
スプリントプランニング(4回目)
このスプリントでは前回のレトロスペクティブを踏まえ、消費カロリーを250kcalほど増加する計画を立てます。具体的には有酸素運動を取り入れることにしました。有酸素運動と言うのはランニングとかマラソンといった運動を指します(体内の糖や脂肪を燃やす運動のことです)。1日の流れとしては、朝起きて有酸素運動、その後出社し、夜に筋トレ1時間と言う感じに変更しました。
スプリントレビュー(4回目)
レトロスペクティブ(4回目)
結果4スプリントの終了時には66.1kgに到達しました。なんと前スプリントから1400gの減少なので、28ストーリーポイントを消化することができました。振り返りと改善の成果がみられます。この次の日(11/14)に無事66.0kgを達成することができたので、結果として2019/10/16 ~ 2019/11/14の30日で無事プロダクトバックログを消化することができました。初期の見積もりでは5週間(35日)かかる想定だったので、これにはPO(自分)もにっこりです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。これは実際に自分の体を使った人体実験になります。
今回やってみて分かったのが、世の中に蔓延っている極端な糖質制限などせずとも、しっかり食べてしっかり痩せることができると言うことです。
この記事を書いている現在も引き続きダイエットを続けており、64kg台に突入しています。
世の中にはスクラムを体験するものとして紙ヒコーキワークショップなどがありますが、個人的にはダイエットをオススメします笑。
今後スクラムダイエットがIT業界を席巻し、日本のエンジニアが皆健康的な体で働けることを願っています。
最後に今回の全体を通しての体重の変化のグラフを載せて終わりにしたいと思います。