GRIPHONEのOKRを振り返る

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グリフォン Advent Calendar 2018 1日目の記事を担当しました、CTOの川村です。目標設定の改善を始めて早一年。現在は目標設定のフレームに『OKR』を導入しています。今回はOKRを導入してみた結果を振り返りたいと思います。

※この記事はGRIPHONE Advent Calendar 2018 1日目の記事です。
https://adventar.org/calendars/3147
https://qiita.com/advent-calendar/2018/griphone

 

【OKRとは】

OKRとは『Objective and Key Result』の略称で、目標管理のフレームワークの1つです。IntelやGoogle、Facebook等、シリコンバレーの大企業が積極的に取り入れていることで注目されています。日本企業でも導入事例がかなり増えているかと思います。

 

【OKRを導入して良かったこと】

組織目標と個人目標のシンクロ

OKRは例えば『会社目標>チーム目標>個人目標』のように、組織目標をベースに個人目標を立てていく仕組みとなっています。

そのため、組織のメッセージを浸透させやすい、という特徴があります。OKRのフレームを踏襲するだけでこれが実現しやすくなるのは導入の大きなメリットだと思います。これだけでも価値があるのではないでしょうか?

実際に弊社内でも、個人目標を立てるプロセスや振り返り等、組織目標を意識する機会が増え、普段の会話の中でも組織目標にまつわるワードが自然と発生するようになって来ています。

また、以前は『個人目標がちゃんと事業で求められているものになっているか分からない』といった声があったのですが、それが解消されました。

 

【OKRの効果を高めるために注意していること】

チャレンジングな目標(ストレッチゴール)

普通に頑張ったら達成度が6割〜7割となるような難易度が良いとされています。そういったチャレンジングな目標を立てるため、『査定時の評価は目標の達成度と切り離す』ということを名言しています。評価が気になってチャレンジングな目標を立てられない…となってはいけません。

また、一人一人と行っている目標設定面談時に、『これが達成されたら成長実感が得られそうか?』『大きな成果を得られたと思えるか?』という質問を必ず行い、チャレンジングな目標になっているかどうかを確認しています。

チームメンバーの巻き込み

モチベーションの上がる、納得した個人目標を立てるためには、その上位OKRにも納得感が必要です。会社全体の目標は会社の経営層で決めるべきですが、その実現を担うチームには、実現方法を自分達で考える裁量が与えられているべきです。目標策定プロセスから参加することで、誰かが決めた目標ではなく、自分(達)で決めたチーム目標となり、個人目標も立てやすくなると思います。

実際に、メンバー全員でチーム目標を決めたケース、一部のメンバーでチーム目標を決めたケースの両方の経験があるのですが、後者のケースでは前者と比較して納得感が低くなってしまったため、今後は必ず全員を巻き込んでいきたいと考えています。

プロデューサー(プロダクトオーナー)の巻き込み

弊社ではOKRをエンジニアでだけ導入しています。ただし、チーム目標や個人目標の策定プロセスでプロデューサーに参加してもらっています。これによりエンジニアよがりな目標でなく、事業に寄り添った目標に着地させる効果があります。また、技術的なチャレンジについては、それがどう事業にプラスを生み出すのか、そのチャレンジの価値をプロデューサーに理解してもらう機会にもなります。(毎回かなりの時間を割いて目標設定に付き合ってくれるプロデューサー陣には非常に感謝しております!!)

 

【OKRの効果をより高めるにあたっての課題】

OKRの理解度

正直なところ、残念ながらGRIPHONEではまだOKRを完全に使いこなせているとは言えない状況だと思っています。他社さんのOKR事例を色々と見聞きする機会があったのですが、それらと比較すると自分自身のOKRの理解度がまだまだ不十分だったなと感じました。OKR導入を旗振る側がしっかり理解し、組織全体の理解度を上げていく努力が必要だと感じています。

定量化の罠

Key Resultは計測可能で定量的であると良い、とされています。エンジニアの目標はこの定量化が難しいなと常々思います。また、ゲーム開発現場、特に新規開発フェーズの場合はより難しくなると感じています。

定量化にこだわり過ぎてしまうと、『定量化しやすいこと』を優先してしまった結果、Key Resultの質が落ちてしまったり、『単なるタスクの羅列』になってしまうケースがあります。Objectiveをせっかく立てたのに、定量化が難しいという理由でそのObjectiveを変更してしまうという本末転倒な例もありました。

私の解釈ですが、『どの程度達成されたのか計測出来るものさしを定義する』ことが大事なので、具体的な数字に落とし込めれば最高ですが、『ここまで出来たら○○%』のような基準を複数段階決めてしまう、というやり方も良いのかなと思っています。

様々な定量化方法を考え、試している最中です。

全社で導入出来ていない

OKRの導入は、言ってしまえばエンジニアで勝手にやり始めた試みで、全社での決定事項ではありません。エンジニア組織でOKRを導入し、上手く活用出来るようになったら全社に広げていこうと目論んでいます。もう少し、エンジニアで習熟度を高めたいところ。

 

【これからOKRを導入する組織にオススメ】

課題のところでも触れた通り、OKRの理解度が非常に重要です。
そこで、オススメの書籍とwebサイトをご紹介します(両方ともとても有名なのでご存知の方がほとんどかも知れませんが)。

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

こちらを読めばOKRの具体的な運用イメージがつかめると思います。

書籍詳細

 

 

 

 

②Google re:workの『目標の設定』

https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/goal-setting/

GoogleでのOKRについてシンプルにまとめられています。
目標設定と振り返りで使用するシートフォーマットも公開されているので、そちらも非常に参考になります。

 

【OKR Meetup@CyberAgent】

少し話が逸れるのですが、先日CyberAgenrtグループ内で『OKR Meetup』という取り組みが実施されました。

CyberAgentグループ内でもOKRを導入する事業部が増えてきており、OKRに関する情報交換を目的としたもので、私もLTを行ってきました。

弊社と同じくOKRの活用方法に課題を感じている人が多くおり、それぞれの組織の導入事例を交えながら色々な議論が出来ました。

 

【まとめ】

OKRを導入してみて一定の効果は既に得られていますが、内外の経験から学びつつ、GRIPHONEのOKRを引き続き改善していきたいと思います。自分達の経験ベースで学ぶことはもちろん非常に大切ですが、他社の事例、工夫を知ることでも、多くの学びが得られます。

弊社の事例が少しでも参考になれば幸いです。